特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

令和8年度税制改正コラム|アップ会計(山本恭平税理士事務所)

はじめに

令和8年度税制改正大綱にて、「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設が発表されました。この制度は、諸外国に後れを取っている国内の生産性を劇的に引き上げるため、経営基盤を抜本的に変える大規模投資を国が強力に後押しするものです。

適用要件:大規模かつ高収益な投資が対象

本制度は、産業競争力強化法の改正を前提としており、経済産業大臣の確認を受けた投資計画に基づき取得した設備が対象となります。主な適用要件は以下の通りです

  • 投資規模:生産等設備を構成する資産の取得価額合計が35億円以上(中小企業者等は5億円以上)であること
  • 収益性:投資計画における年平均の投資利益率(ROI)が15%以上見込まれること
  • ガバナンス:取締役会等の適切な機関で意思決定され、資金調達手段が明記されていること
  • その他:大規模法人には「賃上げ」や「国内設備投資の実施」といった追加要件が課されます

税制優遇の内容|即時償却 vs 税額控除

一定金額以上の機械装置、工具、器具備品、ソフトウエアに加え、本制度では建物、建物附属設備、構築物も対象に含まれます。以下のいずれかを選択適用可能です:

1. 特別償却(即時償却)

取得価額の全額(100%)を、供用した事業年度に一括して損金算入できます。納税額の繰延効果により、初年度の資金繰り改善が見込まれます。

2. 税額控除

取得価額の7%(建物・建物附属設備・構築物は4%)を法人税額から控除できます。トータルの納税額を直接的に減少させる効果があります。

実務上の注意点

本制度は強力なメリットがある一方、適用を受けるためには事業の付加価値を劇的に高める大規模な設備投資であるという認定が必要です。また、適用期間中は「中小企業経営強化税制」や「カーボンニュートラル税制」等の他の優遇制度との重複適用は認められません

おわりに

令和8年度からの新制度は、日本企業の国際競争力を高めるための「攻めの投資」を支援する目玉施策です。自社の投資計画が要件に合致するか、どちらの特典を選択すべきか。投資計画の策定段階から、戦略的な構想が必要になります。

マンボウとタコックスの「骨のある投資」
シュッシュッ……
タコックス
やあ。何してるんですか。
そんなに必死に。
マンボウ
フフフ……これは非常に
「骨のある投資計画」ですよ。
タコックス
投資利益率15%で即時償却!骨がない分伸びしろがありますね。
マンボウ

[cite_start]※タコックスが狙う「即時償却」は、令和8年度新設の特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称)の特典です [cite: 10]。