はじめに
産業技術力強化法の改正に伴い、日本の国際競争力を左右する先端技術分野の研究開発を支援する「重点産業技術試験研究費に係る税額控除制度」が創設されます。
この制度は、AIや量子、フュージョンエネルギーといった、早期の企業化が期待される特定分野への投資を、税制面から強力にバックアップするものです。
適用要件:認定を受けた「戦略的投資」が対象
本制度の適用を受けるためには、主務大臣から「重点研究開発計画(仮称)」の認定を受けた法人(認定研究開発法人)である必要があります。
- 対象法人:青色申告書を提出する法人で、同法に基づく認定を受けたもの。
- 対象期間:認定の日から5年を経過する日(または計画終了日)まで。
- 研究分野:AI、先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙などの特定重点研究開発。
- 継続要件:試験研究費の額が前年度の額を超えていること(原則)。
税制優遇の内容|最大50%の控除
対象となる試験研究費に対して、以下の優遇措置が適用されます:
1. 高い税額控除率
重点産業技術試験研究費の40%を法人税額から控除できます。さらに、共同研究開発等の「特別重点」に該当する場合は、控除率が50%まで引き上げられます。
2. 税額控除限度額と繰越措置
控除できる金額は、その事業年度の法人税額の10%が上限となります。ただし、上限を超えて控除しきれなかった分については、3年間の繰越控除が認められています。
実務上のポイント
本制度は、令和11年(2029年)3月31日までの時限措置です。また、グループ通算制度を適用している法人については、グループ全体での試験研究費の額に基づいて判定を行うなどの詳細な規定が設けられています。
おわりに
特定生産性向上設備等投資促進税制に比べ、対象分野を限定している分、最大50%というの控除率が設定されており、節税メリットははるかに大きいです。 租税の三原則(公平・中立・簡素)のうち少なくとも公平性、中立性の観点からは議論の余地があるかもしれませんが、それ以上に「特定分野を国策として育成する」という行政の強い意志が反映されています。実質的には、複雑な申請を伴う補助金・助成金に代わる、強力な投資インセンティブとしての性格を帯びた制度と言えるでしょう。
(計算中)
※最大50%の税額控除は、産業技術力強化法の改正により創設される「重点産業技術試験研究費税制(仮称)」の特典です。